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しかし、光輝はどうもこういう女性らしい女性が苦手だった。
「いえ、特に無いです」
「では、何かありましたらナースコールで呼んでください。あっ! それから、なるべく指先を動かしておいて下さい。関節は一日でも固くなってしまいますから」
「はい。ありがとうございます」
光輝が礼を言うと、彼女も満足したのか微笑みを返し、病室を後にした。
「くぅ~! 愛ちゃん、今日もめっちゃ可愛いなぁ」
関西弁でこう告げたのは同じ病室にいる、大学三年生の河野信也(こうの しんや)だ。
彼の身長は光輝と比べてやや低めだが、なんと体重は百キロを超えている。
昨日聞いた話では、彼もラグビーの試合中に真横からタックルを喰らい、左膝の前十字靭帯を断裂したらしい。
手術は四日前に終えたばかりとのことで、光輝が手術室へ向かった時は、ちょうどリハビリに行っていたのだ。
それにしても、この男。
口から生まれてきたかのように、よくしゃべる。
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