復帰

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「私の進路は、叔母さんには関係ないじゃない!」 突然声を荒げた咲に恵津子は慌てながらも、とりあえず座るよう促した。 幸いなことに他の客の姿は無く、マスターを務める恵津子の旦那も、二人の様子をジッと見詰めている。 「その進路について、ちゃんとお母さんと話し合ったの?」 「それは……まだ」 「咲ちゃんは、学年でもトップスリーに入るくらい好成績なのよね?」 「だったら何? 成績が良いと大学に行かなきゃならないの?」 「そうじゃないわ。奈津子はてっきり、あなたが以前から興味を持っていた英語の道に進むと思ってたらしいの。だから、今頃になって、柔道整復師の専門学校へ進学したいと言われた理由がわからないのよ」 「だから、それは新しい目標ができたから。大学に行っても必ず就職できるわけじゃないし、手に職をつけようと思ったの!」 叔母に当たっても仕方がない。 そんなことぐらい咲もわかっているのだが、どうしても苛立ってしまう。
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