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「怪我の治療に携わる職業はいろいろあるけど、包帯やテーピングを巻いたりきちんと処置をしてくれるおじさんを見てたら、自分もそうなりたいって強く思うようになったの」
「そう。でも前に龍ちゃんから聞いたけど、柔道整復師って女性も少なくてとても大変らしいじゃない? 大丈夫なの?」
「確かに男社会の中で働くのはすごく大変だよね。だけど、実力勝負の世界ならきっと向上心に繋がると思う。私は、ただ何となくで仕事をしたくないの。
だから、大学には行かずに専門学校で基礎からちゃんと学びたい。
もちろん、入学金だけはお母さんに頼らなきゃいけないけど、それ以外の学費は奨学金制度を利用して通いたいと思ってる」
「……咲ちゃんの覚悟は、わかったわ」
そう言って恵津子は携帯電話を取り出すと、履歴から奈津子に電話をかけた。
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