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その夜。
夕食を済ませると、咲は今の自分の気持ちを素直に話した。
「そこまで考えた進路なら、私も応援するわ。だけど、理想と現実は別物よ」
「理想と現実?」
「そう、お母さんも男社会の中で女性が仕事をこなす大変さは、多少なりとも見てきたから。専門職ともなれば、なおさら結果が全てになるでしょうし、甘えは許されないわよ。それだけは肝に銘じておきなさい」
「うん、わかった」
「ところで、光輝くんの具合はどうだった? この前、お見舞いに行って来たんでしょう?」
「うん、でもちょっと同じ病室に変な男が居て……」
「変な男?」
「本当は光輝とゆっくり話したかったけど、その人に邪魔されたからすぐに帰って来たの」
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