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手術から二日が経った、九月五日。
光輝はTシャツとハーフパンツに着替え、リハビリ室へ来ていた。
体育館の半分ほどの広さを持つここには、平行棒や階段、バランスボールなどの日常生活を意識したリハビリ用器材を始め、筋力強化を図るトレーニングマシンも置かれている。
まず彼に与えられたリハビリメニューは、車椅子から松葉杖で立ち上がることだ。
「右膝はほとんど伸びた状態なので、左脚でしっかりと体重を支えてください」
こうアドバイスしたのは、理学療法士である林武弘(はやし たけひろ)だ。
彼は学生時代にサッカーをやっており、自身も膝の手術を経験したことがある。
また、二十五歳という若さもあって競技から離れた今も無駄な脂肪が少なく、筋肉質な体を維持していた。
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