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九月九日。
手術後六日目。
この頃になると、光輝は松葉杖で病院内を歩くことができた。
「お前も経過順調そうやな」
「はい。河野さんは明日で退院なんですよね?」
「そうや。退院できるんは嬉しいけど、愛ちゃんと離れ離れになるんは寂しいな」
そう言うと、珍しく河野は真顔になった。
「実は、俺……本気やねん」
「えっ?」
「愛ちゃんみたいな美人が、俺の相手なんかしてくれへんのはわかっとる。せやけど、やっぱり自分の気持ちを伝えずに別れたら後悔する」
俯いてそう告げる河野に思わず、光輝は「いや、十分伝わっていると思いますよ」と突っ込みそうになってしまった。
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