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神代先輩に案内され校内を回った。
途中でヒソヒソ声が聞こえたが、神代先輩がそっちを向いて笑うだけで静かになった。
流石は副会長だな。
「まぁこんなとこやな、移動教室で使う場所とかはその時にクラスメートに聞き」
分かったと頷けばそのまま寮の俺の部屋に案内された。
「ほなコレ渡そかな」
そう言って懐からスマホらしき物を取り出した。
「スマホですか?」
「そう見えるやろうけど、扱いとしては生徒手帳で寮の鍵やな」
そう言ってその機器をドアノブにかざせばガチャリと鍵が開く音が聞こえた。
「まだ説明あるし、立ち話もなんやしお邪魔してもえぇか?」
別に見られて困る物もないし、てかそもそも段ボールしかないはずだから見られる物も無いしな。
「別にいいですよ」
そう言って神代先輩と一緒に部屋に入って俺は絶句した。
「先、お邪魔してるよ~」
部屋に広がっていたのは、一部荷ほどきされ空になった段ボールと新品ソファに寝転がりくつろいでいる燐だった。
「なんで、てめえは人様の部屋に入ってくつろいでやがんだ…、ってか部屋主より先に入ってるってどういう了見だ」
神代先輩の目の前だろうと容赦なく素の口調で問い詰める。
まぁ、隠すつもり始めからないし。
「合鍵申請で合鍵貰ったから片付けが苦手な凌ちゃんの代わりに最低限の片付けしてたの」
合鍵申請…あぁそういえば転入書類に合鍵を渡したい相手を書く欄があったっけ。燐が電話で名前書けって言うから書いたけど、入り込むの早すぎだろ。
因みに書かないという選択肢はなかった。というより書かないと燐がうっとうしい事になるのは目に見えてたからっていうのが一番の理由だ。
「もしかして用事ってそれだったのか?」
「うん、先に行って片付けてあげようっていう優しさでしょ?」
それなら先に部屋に行くって一言言えばいいのに。そもそもそんな優しさ…俺にはいるな、うん。
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