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「・・・うん。」
「おっ?認めた?」
・・・でもね、でも、梨紅。
「今すぐには言えなくても、言えるようになったら相談してね?力になるから。」
「・・・うん、ありがと。」
私の好きな人は、梨紅のことが好きなの。
陵は、梨紅のことが好きなんだよー・・・。
「じゃあね!雫ばいばい!」
「・・・うん、ばいばい・・・。」
気持ちに気づいてから、家に帰ってくるまで、梨紅としていた会話が思い出せない。
・・・それくらいに、上の空だったんだろう。
玄関をぱたんとしめて、崩れ落ちる。
・・・恋を自覚した日に失恋とか。
「・・・ほんと、笑える。」
誰にも届かないこの声は、無駄に心に響いてやけに痛かった。
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