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ぼーっと朝御飯のトーストをむしゃむしゃと食べる叶多の横で、叶多のお母さんから紅茶だけもらってこくりと飲む。
朝御飯を食べ終えて着替えてきた叶多の髪の毛はぴょこん、と可愛らしく跳ねていて。
それを、櫛で直してやっと家を出る。
「・・・雫。」
「なぁに?」
「雫は・・・陵のことが好き・・・なんだよね?」
「・・・うん。」
口下手な叶多との会話。
でも、途切れることはない。
「・・・笑えるよね。気持ちに気づいた日に好きな人知っちゃったんだよ。」
自嘲気味に笑うと、叶多が「雫・・・」と私の名前を呼んだ。
「なぁに?」
必死に笑っているけれど、きっと叶多なら気づいてしまうだろう。
メイクで隠した目元の隈とか。
だから、俯きながら歩いた。
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