間・灼眼ノ鬼

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タッタッタッ… 深夜の町を足音が響く。 夜は魔の刻。 狩りの時間だ。 哀れな獲物は人間の少女。 見た目からは想像出来ない速さで逃げているが、それもここまで。 少女の目の前には絶望的に高い高い塀。 後ろには魔物、“虎猫”の群れ。 「たかが猫じゃないか」 などと思うことなかれ。 奴らの身体能力は野生の虎と同格。 それでも魔物としては弱い方のE級に分類されるのだが、常に十数匹で纏まって行動するため、並の冒険者では歯が立たないだろう。 「…助けて」 哀れな少女は、遂に命乞いを始める。 だが、優秀なハンター達が獲物の泣き声に耳を貸すことなどあり得ない。 「誰か…誰か助けて…!」 獲物の喉笛まであと5秒…3、2、1… 「まったく、なんだってこんな時間にガキが出歩いてやがるんだ?」
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