0人が本棚に入れています
本棚に追加
タッタッタッ…
深夜の町を足音が響く。
夜は魔の刻。
狩りの時間だ。
哀れな獲物は人間の少女。
見た目からは想像出来ない速さで逃げているが、それもここまで。
少女の目の前には絶望的に高い高い塀。
後ろには魔物、“虎猫”の群れ。
「たかが猫じゃないか」
などと思うことなかれ。
奴らの身体能力は野生の虎と同格。
それでも魔物としては弱い方のE級に分類されるのだが、常に十数匹で纏まって行動するため、並の冒険者では歯が立たないだろう。
「…助けて」
哀れな少女は、遂に命乞いを始める。
だが、優秀なハンター達が獲物の泣き声に耳を貸すことなどあり得ない。
「誰か…誰か助けて…!」
獲物の喉笛まであと5秒…3、2、1…
「まったく、なんだってこんな時間にガキが出歩いてやがるんだ?」
最初のコメントを投稿しよう!