1―序,兄妹の日常

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この偉そうなちんちくりんは紅 鈴(くれない りん)。俺の1つ下の妹。 大きくぱっちり開いた栗色の瞳に、愛嬌のある小さな鼻、さくらんぼみたいな唇。柔らかそうな肌は綺麗な白で、りんごみたいに色づいた頬は実に愛らしい。豊かな栗色の髪をツインテールに纏めている。 初等部や中等部を含めても一番可愛いと評判で、告白された回数は3桁を下らないとか。もっとも、その内訳は年下だと思い込んで告白した中等部男子が8割、年下だと思い込んで告白した初等部のマセガキが1割、後ろ指をさされることを覚悟した高等部のロリコンが1割といったところか。 要するに、鈴はちんまい。確か、身長は113㎝とか言ってたっけ? 立っているくせに椅子に座っている俺よりも低い位置に頭があるのだが、そんな現実は知らない、認めない、諦めないという逞しい子である。 「おにいちゃん、何だか失礼なこと考えてない?」 「いやいや、鈴は逞しく育ったなぁ、と思ってさ」 「ふぇ?どうしたの、急に」 「だって、こんなにちっこくてロリロリしてるのに自分の意見を曲げないもんな」 「…誰がロリだって?もう一回言ってごらん?」 …ハッ!? しまった、思わず本音が…。 こいつはロリとか幼女とか言われるとキレるってのに…。 いつの間にか背後に回られ、喉元にナイフを突き付けながら凄まじい殺気をぶつけてくる妹。 これでも、問答無用で保健室送りにされなかっただけマシである。 「おい、蓮のやつ見ろよ、鈴ちゃんをおんぶしてるぞ」 「本当だ!なんて羨ましい!!」 「くそっ、代わって貰いたい…!!」 代わって貰いたいのはこっちだっての!! ちくしょう、あいつら何にもわかってねえ! 「おにいちゃん、あと一回だけチャンスをあげる。さっきは何て言ったのかな?」 くっ…!? 「何だか分からんが、優しく耳元で囁かれてるぞ!?」 「何かをあげるって言ってなかったか!?」 「くっそー!!なんてうらやまけしからん!!」 外野はいい加減黙ってろよ!!
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