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虹々ちゃんは、この私立校の設立に関わる舞園家の娘で、今日は何かしらあると言っていたはず……。
「ちょっとくらい平気よ。それに私よりも遅刻確実な人がいるもの」
冗談めかして言う虹々ちゃんは、微笑むように口端をあげた。
「あ、舞園 四季さん?」
「そう、四季」
虹々ちゃんは、舞園四季さんの話をするといつも静かに、からかうように笑うなあ。
普段は静かで大人びたイメージだけど、やっぱり従兄弟となると対応は別なのだろうか。
話を戻そうと虹々ちゃんが口を開いたところで、クラスの後ろ扉のほうから四季さんが入ってくるのが私からはバッチリ見えた。
こちらを向いてる虹々ちゃんも私の様子で気がついたのか、気配で気がついたのかはわからないけど、後ろを向く。
歩いてくるのは、細くて白くて。
触れれば壊れてしまいそうで繊細そうな。
目を離した隙に消えてしまいそうな儚い綺麗な男子。
その人は、こちらまで歩いてきては気怠そうに、色素の薄い髪の毛の後頭部をゆっくりと掻きながら口を開く。
「なぁ虹々、悪いけど今日は行かないから、適当に言っておいてくれ」
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