透明

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あの日、美術室ドアの隙間から見えた絵。 私は一瞬見ただけでも心臓が爆発するんじゃないかってくらいの衝撃を受けた。 その抽象画は、カラフルで。 自由の具現化みたいで。 今までの私を……。 弱虫で、取り柄なんてなくthe普通で、自分の感情を表に出さない流されてばかりの……他人に染まる私を。 間違っていると主張するかのような絵。 怖かったんだ、もう一度ちゃんと見るのが。 なんとなくだけど、ここが人生の分岐点なような気がして。 それでもゆっくりと見たいという矛盾な思いが天秤に揺れていて今日。 「私は、躊躇った先には成長があると思ってる」 「え?それって……」 「そう、親の意見には反対なの」 そう言ってニコリと笑う虹々ちゃん。 それに吊られた私も ───なにそれ。と苦笑する。 学校中の喧騒に紛れて、時間を忘れそうになるけど、いつまでもここで時間を取らせる訳にはいかない。 虹々ちゃんは用事があるんだから。
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