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いや……当のレントには、いったい何になれと言われたのか、実は見当がつかずにいた。
彼は側小姓と言う言葉自体、初めて聞いたのだった。
「は? 側小姓? って、なんですか、それ」
ドングリまなこで聞き返すレントの胴を、王子の腕がぐいと抱いて引き寄せた。頬にかかる息が熱い。
「俺の寝所に侍れ、とでも言えばわかるのか?」
今度こそ、十分すぎるくらいに了解したレントは蒼白になった。
あまりのことに、一瞬、頭の中に霧がかかって、ぼんやりとしてしまう。
一刻も早く王子に近づきたかったのは確かだ。
だが、いきなり、寝所に侍れ、だと?
もちろん、これは、考え直せば、またとないチャンス到来ともいえる。
レントシエラが城に潜入した目的、地下牢の鍵探しも、王子の寝室にまで入れるとなれば、容易に果たせるに違いない。
しかし……しかし……!
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