第2話 側小姓ってなんですか?

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 思いっきり突き飛ばされて、後に転びかけた王子は、何とか体勢を保ったが、料理見習いごときに拒絶され、さすがに自尊心を傷つけられたようだ。 「貴様……この俺にこんなことをして、ただですむと思って……」    震え声で言いかけたときだった。  レントシエラは背後の茂みに、鋭い気配を感じ取った。  殺気だ。王子を狙っている。  生まれつきの鋭い感覚でそう察知すると同時に、純粋な反射で体が動いていた。  前触れなく振り下ろされてきた剣を、タンと横っとびに飛んで、両手のひらで挟み王子の前で受け止めた。  切っ先が王子に切りつける寸前だった。   「うわ、なんだ? くそっ」  黒ずくめの刺客がレントシエラのあまりの素早さに奇声を上げ、そのまま剣を捨てて暗がりに逃げ込んだ。  レントシエラは両手で握っていた剣を地面に放り出し、王子の無事を確認するために振り返った。  ディナフェル王子は辛うじて剣の束(つか)に手をやったまま、抜くことさえできずに、ただ呆然と立ち尽くしていた。  
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