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「あの、料理長から、明日の朝食に使うハーブを、裏庭から採って来るように言われまして……」
「ハーブ?」
ディナフェル王子は、興を覚えたように、クスッと笑いながら、聞き返してきた。
「ハーブの畑なら、こことは反対の方だと思うぞ」
「そ、そうなのですか。すみません!」
できるだけ不自然にならないよう、慌てたふりをした。
「まだ不慣れなもので、道に迷ったようです」
王子の形のいい紫の目が、なぜだかスッと細められ、上からじっくりとレントを見下ろす。
疑っているような目ではなかった。
疑っているのでなければ、何を考えているのだろう?
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