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突然の剣幕に結樹は困惑する。
というよりも武器も持たずにジンチケン?なんてとこを飛び出すも何も、結樹の知る世界にあんな化け物はいないのだ。
「えっ、えっと……何が何だか僕には状況がさっぱりというか……。日本にあんな狼人間なんていたっけ?」
「君は何を言ってるんだ!? 私は何故武器も持たずに村の外に出たのかと聞いてるんだよ!」
結樹の質問に、血が上りきってる白髪の女性は答えずに、自分の質問を貫く。
とはいえテンパってる結樹でも一つ分かった。どうやら先ほど言っていた「人地圏」とやらは「村」とほぼイコールらしい。
とりあえずは疑問をぶつけあうよりは、自分の経緯をしっかりと伝えておくべきだと結樹は考え、喋り始めた。
「目が覚めたら何故かこの森に居たんだよ。どこかも分からず歩き回ってたら、あの化け物に遭ったんだ。だから、僕は何にも分からないんだよ!」
その説明で、ようやく白髪の女性は何か状況が違うと気付いたらしい。
「……君は本当に何もわからないのか」
「……うん。だからむしろ僕が色々聞きたいくらいで」
結樹が頷きながら返事をすると、白髪の女性は「はぁーっ!」明らかに呆れた長い溜め息をついたのだった。
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