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「管野 幸」
「はいっ!!」
「合格だ。」
「ありがとうございました!」
俺がお礼を言ってから、頭を下げる。そして、もう一度あげて更衣室に行こうとすると
「幸」
先輩に呼び止められた。
「はい。」
俺が普通に返事をしながら振り返る。でも内心は
何で止められた?
と少し不安だった。そんな俺なんて露知らず先輩は普通に
「放課後俺の部屋にこい。」
…誘ってきた…。
「は、ははははははい。」
俺は、慌てて言った。先輩は
「よし、戻れ。」
と普通に言った。
普通すぎる…。なんか、全然違うことだったりして…まぁ、その時は俺がそういう雰囲気に持ってくけど。…でも…
「幸」
俺の思考がピタッと止まる。
「はい。」
「邪魔だ。退け。」
ハッとして俺が周りを見ると、次の奏が俺の方を向いたまま困った顔をしていた。
「ご、ごめん!奏!!」
俺が慌ててそこをどく。奏は気を使って
「ううん。大丈夫。」
といってくれた。
「先に更衣室に行ってるな!」
「うん。」
俺と奏が短い会話をおわらせる。そして俺は、くるりと踵を返し、走った。
―どうやってそういう雰囲気に持っていこうか考えながら―。
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