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「この人さ、なんだか学校内のカップルを増やしたいらしくて、好意のある男女を見つけたり、相談受けたりすると、その二人をくっつけようといろいろしてくれんだよ」
加賀見が左京の言葉を補足するように言った。
「男女とは限らないよ! 加賀見君!」
「そうでしたね。マッチョな柔道部部長を俺とくっつけようとしたりしましたもんね!」
あれ。笑顔なのに二人の周りの空気が凍ってる。
「あの人だって真剣に君のことが好きだったんだよ? だから俺は協力したまでさ」
「こっちの気持ちを無視しないで下さいよ! 俺マジで処女喪失かと思ったんすよ!? 俺は女の子大好きなんですから!」
それはそれでどうなんだ、加賀見。
「だから掘られる前に助けてやったろ?」
「あの恐怖は忘れられねぇ……」
加賀見の顔は青ざめているが、キューピットさん(仮)は楽しそうに笑っている。
「えっと、つまり、あなたは相談を受けると、相談者とその人が好きな人をくっつけようと、いろいろしてくるってことですか?」
俺は恐る恐るキューピットさん(仮)に尋ねる。
「そうそう!」
そうそうって。
それって、結構迷惑じゃないか? 加賀見じゃないけど、何か間違いが起こることもあるんじゃ……。
俺のそんな考えが読まれたかのように、キューピットさん(仮)……あ、(仮)じゃないか。本当にキューピットさんだったのか。
キューピットさんは俺を見た。
俺はまた一歩後退りする。
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