第二章

35/43
前へ
/405ページ
次へ
 納得はしていなかったけど、仕方なくわかったとうなずいた。こういう時の左京は意外に頑固だからだ。 「それにしても、左京、そんなに男の人に告られたことあるの?」 「まぁね……。電車で痴漢にあったりとかもするし……」 「痴漢!?」  確かに左京はかわいいけれども!  男の人にモテる顔なんだろうか……。  俺は左京の顔をじっと見つめた。 「まぁそれは置いといて。とにかく! 加賀見には気をつけてね!」  あれ、そんな話だったっけ?  かなり疑問だったが、早くこの話を切り上げたくて、俺は一応了解した。  その日は翌日の不安でよく眠れなかった。キューピットさんや加賀見がいてくれるにしろ、今の櫻野先輩が何を言い出すのか、俺がそれを上手く受け止めることが出来るか、不安だらけだった。  それでも、左京のあの震える手を思い出し、頑張ろうと誓った。
/405ページ

最初のコメントを投稿しよう!

844人が本棚に入れています
本棚に追加