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「左京君は優しいから。きっと僕を傷つけたと思って気に病むと思った。恐がると思ったのは本当だよ。僕を傷つけると思って、彼は恐がると思った」
俺は、息をするのも忘れた。
震える手を思い出す。
俺に縋っていた腕。
「彼は、周囲の人を心配させるとわかっていて頼ることはしないだろう。だから、事情を知っていて彼を助けてくれる人達がいてほしかった」
だから君らに依頼したんだと、先輩は言った。
──―ねぇ、左京。先輩はおかしくなってるのかもしれないけど、お前のこと想ってる気持ちは変わってなかったよ。優しい先輩のままだったよ。
「僕が告白なんてしなければいいだけの話なんだけどね。それもできなくて……」
また自嘲するように笑った。
「わかった」
加賀見はそう言うと、頭を下げた。
「すんませんでした。余計なこと言いました」
「違う。余計なこと言おうとしてるのは僕なんだから。昨日変なことを言ったのも僕だ。ごめん」
右京君も、と言って先輩は俺を見た。俺は何も言えず、首を振ることしか出来なかった。
「櫻野……」
キューピットさんは小さく呟いた。その声は、俺にしか聞こえなかったらしい。俺が視線を向けると、キューピットさんは櫻野先輩を不安そうな表情で見ていた。
なんで──。
櫻野先輩は俺達が思っていたように壊れているわけじゃないんじゃ―? それなのに、その表情は何……?
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