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「最近ね、時々どうしようもなく虚しくなるんだ。生徒会長として仕事をして、それなりに信頼されて、それで満足してた。それでいいんだと思ってた。でもね、本当はたった一人の特別な存在になれればよかったんだ」
左京のことだ。
「皆に信頼されたから、何だっていうんだ? 結局孤独だよ、そんなの。僕が少し変な行動をし始めたら、離れて行く人は多かったよ。もちろん、そうじゃない人もたくさんいてくれるけど、僕がもっと今までと違う行動をすれば、離れていくだろう。そんな人間関係しか築けなかったんだよ」
空に向けていた視線が、俺に戻される。
「そうじゃない、特別な人が欲しかった」
「何が、何があったんですか……? どうして、そんな風に思ったんですか……?」
俺の言葉を聞いた先輩が、微笑みながら顔を寄せた。
──僕はいなくなるんだよ。
先輩は、俺の耳元で囁いた。
第二章 終
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