未来からの贈り物

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珍しくコウが早く帰ってきた日、私は嬉しくて張り切って夕食の準備をした。 連絡を受けた時に外食もいいねと思ったが、やっぱり家でゆっくり過ごす方がいいと思ったから。 12月に入り寒くなってくると家での温もりが恋しく感じ、鍋でもつつこうかと思ってしまう。 コウの大好きな坦々ゴマ鍋を用意して。 そして夕食後、私は洗い終わった食器を食器棚に戻しながらリビングに視線を移した。 いつもならソファに座りながらテレビを見ているコウがいるんだけど、ソファには誰もいない。 その奥にあるバルコニーから外を覗くようにコウは立っていた。 そして私に背を向けて誰かと電話している。 「……うん」 コウは私に遠慮をしているのか離れたところで隠れるように小さな声で話していた。 きっと私に気を使ってくれているのだろう。 そんな事しなくていいのに。 私の前で堂々と話せばいいのに。 最初きっと仕事なんだろうなぁと思っていた。 いや、仕事なんだとは思うけど……。 問題は相手だ。 コウはその人を呼び捨てで呼ぶ。 「……そう。あとはチアキに任せるから」 チアキ? ねえコウ。 チアキって誰?
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