日常

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「ありがとう隼人。そう言ってもらえると助かる。本当にお前のおかげでこの小さな店も繁盛してたんだ。感謝しても仕切れねーぐらいだ。実家にはお袋が1人暮らしなんだ。俺の兄弟も居なくて、誰も面倒見てやるもんがいねーから理解してくれ。」 店長は深々と頭を下げている。その目には光るものがあった。 「いえ。僕もオーナーと店長には感謝しています。少し驚いたけど、本当に今までありがとうございました。」 この店で働いた日々を思い出していた。 店長に怒られた事。常連のお客さんと話した事。オーナーが俺に優しくしてくれた事。色んな思い出があった。 オーナーはめちゃめちゃ泣いてる。 俺も涙が止まらないよ。グスン。 「あ!忘れてた!それとお前にあれをやろうと思ったんだ。」 店長は話をはぐらかす様に店の奥に行った。 「隼人君。あなたと仕事が出来て本当によかったわ。最初はすぐ辞めちゃうと思ったんだけど、よく3年も働いてくれたね。ありがとう。」 「僕こそ感謝してます。オーナーと店長には色々教えて頂きました。」 「隼人。お前にこれあげようと思ってんだ。受け取ってくれ。」 店長は見た事ある白いダンボールを持って来た。 まさか。。。 「今日届いたばっかだけど、お前にやるよ。最新のゲーム機だぜ。」 「それどころじゃなくなったから、隼人君もらってくれる。この人遊んでる時間ないから。」 「でもそれって、『ヘルム』ですよね。15万するんですよね?そんな高価な物さすがに受け取れませんよ。。。」 「気にすんな!いいってことよ!お前のおかげで店の売上げもよかったんだから安いもんさ!」 「いいのよ。どうせこいつはすぐ飽きちゃうんだから。それに、今日中には北海道の実家に行かないといけないから、荷物になるのよ。」 「オーナー。。。店長。。。」 店長は俺にその白いダンボールをドンと渡してきた。 「もっとマシなもんあげれたらよかったけど、我慢してくれ。」 「俺。。。この店好きだったっす。。。」 涙が止まらない。 オーナーも店長もいい人すぎるよ。 俺はその時、考えもしなかった。 これから起こる最悪の運命の歯車が回りだした事に。。。
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