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『花魁』 『あちきは只、情欲以外の愛を知りたかっただけでありんす・・・』 かつてこの国の男の欲は溢れていた その本能 この花魁たちが請け負った 彼女たちは 親に売られ捨てられ いつの間にか 美しい着物や簪に飾られた 「商品」となった 気高い花魁 旦那に抱かれながら 旦那より優位に立つ 現代の街では禁止される春を売る行為 かつてここで生きた彼女らは 今のこの世をどう考える 羨ましいと唇をかみしめるのか それとも何も感じないのか 甘いと一喝するのか こんなことを言っていいのか分からない だけど彼女たちを 尊敬し、羨ましく思う 彼女たちのように美しく 孤高の女を演じたい 偽りの渦の中 愛を得られぬこの世の中で 私の価値など見つからない 愛を得られぬのなら 花魁のように生きてみたい あちきは貴方たちの思いを 受け継ぐ覚悟は十分にありんす 「あちきを愛してくんなし」
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