誕生石

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『ガーネットの結ぶ新しい日々』 『ねえ、なんで黙ってるのよ!』 目の前にいる彼は私の好きな人のはず そう、そのはずだった 数週間前から 彼の携帯のランプが光っている 私の着信は赤色の光 でも光ってるのは緑色 誰かと頻繁に連絡をとっている そして帰りが遅くなっているのも 私は気付きたくなかった 無意識に口から本音が漏れ出ていた 『最近誰と連絡をとっているの?』 そんな自分が嫌だった 嫉妬深い女になりたくない でも、止まらない 私は彼のことが好きだから 誰かに捕られたくない 色々な想いが渦巻いて 私は静かに涙を流した それを見て彼は慌てる 『もう少し隠したかったんだけどな』 そう言って彼は自室に入っていく それだけの仕草さえ 愛しいと思ってしまうのは 惚れたことの弱味か 私の狂った感性か もう彼は別れたいのかもしれない それで彼が幸せになれるなら 私はそれを・・・ 『隠してて、不安にさせて、ごめん』 彼は私に細長い箱を差し出し 『受け取ってよ』 そう言われて やっと箱に手を伸ばす 『ほら、涙なんて流さなくていいんだ』 彼の大きな手が私の頬に触れる 彼は優しく微笑みながら 『開けて、気に入るといいんだけど』 固まる私 その状況を理解出来ず ただ箱を握りしめる 『ほら、早く』 即されてようやく手を動かし ゆっくりと箱をあける それを見てまた涙が溢れた 『・・・あぁ』 目の前には紅く輝くネックレス 花と蝶のモチーフで彩られ 小さくクロスも表されている 『もうすぐ誕生日だろ?俺がデザインしたんだ』 『たんじょうび・・・』 『ガーネット、一月の誕生石だ』 涙が止まらず 声も掠れる 『・・・うたがって、ごめ・・・』 言葉が続かない 私はこんなにも幸せ者なのに 相手を疑い 嫌な女と同類じゃないか 『まだ指輪が出来てないんだ』 彼がネックレスのチェーンをはずし 私の首を一瞬撫でる そしてそれを着けながら 『絶対幸せにするから』 『は・い・・お・・・ねがいします』 『指輪あと一週間待てる?』 『・・・一週間でも、1ヶ月でも、まつ』 『泣きすぎ、そして喜びすぎ』 この幸せが、貴方にも訪れますように ☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆ 一月の誕生石・・・ガーネット 意味 ・・・情熱的な愛・誠実 一月の別名 ・・・花嫁の月 ☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
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