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四年前、散田、タケヒロの祖母の家
『大変言いづらいことですが……
娘さんは虐待容疑で逮捕されました。
お孫さんは今、入院中です。
あ、命に別状はありません。
それで……タケヒロが退院したら、彼のことをお願いできないかと思いまして。
父親ですか?
残念ながら、タケヒロの父に当たる男性は五年前に他界しています。
……尾山さんのお体の事は存じております。
かなりの負担になることもお察しします。
でも。
他人じゃダメなんです。
血を分けた親族に、真正面から受け止めてもらうこと、
愛ある叱りを受けること、
自分の居場所があること、
それが今のタケヒロには必要なんです。
……なかなかタケヒロに会わせてもらえなかったと聞きました。
どうか僅かな時間でも構いません、
今までタケヒロにしてやれなかったことを、纏めて与えてやって頂けませんか?
その後の事は、全部僕が引き受けます。
然るべき機関に頼るなら、手続きなど代行します。
高校を出るまで面倒を見てくれるところなら伝がありますから。
タケヒロが嫌がるなら、僕が里親になっても構いません。
僕には残す財産もないので、養子になってもメリットはありませんが、タケヒロが望むなら養子縁組も構いません。
尾山さんが僕を信用してくださるなら、ですが。
ええ、もちろん無理にとは言いません。
彼に強要する気もありません。
ただの選択肢として考えていただいて結構です。
彼が岐路に立ったとき、彼自身が選択すれば良いと思っています。
タケヒロの退院は明後日です。
尾山さんだけが頼りなんです。
どうか、どうかタケヒロのことをお願いします』
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