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………… 「ここが100Paだからここは……えっと……」 来る受験に向けて勉強の真っ最中。 この分野は苦手だから最後まで手を抜かない。 最後の模試ではA判定が出ていたから成績的には余裕があるはず、けれど油断大敵。後悔のないようにしないとね。 「勉強中のところ申し訳ないのだけれど。湊くん、今ちょっといいかしら?」 集中しているとノックの音と呼び声が。 勉強を一度中断し、声の主に返事をする。 「大丈夫だよ」 「邪魔しちゃってごめんね」 黒木 優(くろき ゆう)、これから高校を卒業する18歳。ふわふわとした薄い茶色の髪にアンバーの目を持ち、顔には常に儚げな笑みを浮かべている。手足は白く長く、体はスリム。身内から見てもかなりの美人だと思う。 そして少々残念なところもあったりする……僕の姉である。 「あのね、折り入ってお願いがあるんだけど……」 姉さんは勉強机に近づきながらそう切り出してきた。
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