第37話「虹・惨事」

7/7
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/94ページ
 僕はじたばたと足を動かす。僕は、鷹子さんの腕力で、宙吊りになっている。何でこんな目に遭っているんだ? あっ。そういえば、説明の最後に、鷹子さんのことを、ぽろりと言ってしまった。鷹子さんは、その部分に目ざとく気付き、僕に制裁を加えているのだ。 「ねえ、鷹子」  楓先輩が、鷹子さんに声をかける。 「何だ、楓」  鷹子さんは、楓先輩をじろりとにらむ。 「鷹子は、惨事ではなく虹が好きなの?」 「そんなことはない。ただ、……か、か、か、可愛いと思っているだけだ」  鷹子さんは、顔を真っ赤にして、僕を壁へと投げ飛ばした。そして、怒ったようにして部室を出ていった。そうか、鷹子さんは、二次元の女の子を、可愛いと思っていたのか。僕は、なるほどと思った。  それから二日ほど、楓先輩は鷹子さんに、二次元のどういったところがよいのか、しつこく尋ね続けた。鷹子さんは、そのたびに逃げ回り、僕をぶん投げた。むぎゅう。何で僕が被害に遭うの? 理不尽だなあと、僕は思った。
/94ページ

最初のコメントを投稿しよう!