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僕はじたばたと足を動かす。僕は、鷹子さんの腕力で、宙吊りになっている。何でこんな目に遭っているんだ? あっ。そういえば、説明の最後に、鷹子さんのことを、ぽろりと言ってしまった。鷹子さんは、その部分に目ざとく気付き、僕に制裁を加えているのだ。
「ねえ、鷹子」
楓先輩が、鷹子さんに声をかける。
「何だ、楓」
鷹子さんは、楓先輩をじろりとにらむ。
「鷹子は、惨事ではなく虹が好きなの?」
「そんなことはない。ただ、……か、か、か、可愛いと思っているだけだ」
鷹子さんは、顔を真っ赤にして、僕を壁へと投げ飛ばした。そして、怒ったようにして部室を出ていった。そうか、鷹子さんは、二次元の女の子を、可愛いと思っていたのか。僕は、なるほどと思った。
それから二日ほど、楓先輩は鷹子さんに、二次元のどういったところがよいのか、しつこく尋ね続けた。鷹子さんは、そのたびに逃げ回り、僕をぶん投げた。むぎゅう。何で僕が被害に遭うの? 理不尽だなあと、僕は思った。
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