猫、暮らす(裏面)

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  『言いたくニャければ、言わニャくても良いである』 どっちにしろ喋れない僕の考えを読んで知ったであろうバニさんは、タバコを2本取りだし、1本をくわえて、もう1本を僕に差し出してきた 僕、まだ13才だけど? 『吾輩、まだ2才である』 細くて長いタバコに火をつけ、僕の右手をポンポンと叩く なんということでしょう 動かなかったはずの僕の右腕が、自然とタバコを受け取るように動いたのです ゴホッゴホッ 『まだまだ子供である』 むせる僕を横目に、美味しそうに紫煙を吐き出すバニさん 『とある少女がいた その少女は、まだ5才の頃に火事で両親を亡くした 両親に守られる様に火事場から発見された少女も、背中に一生消えニャい火傷を負った 放火だったそうである かろうじて一命をとりとめた少女は、他に身よりもニャく、施設で暮らすこととニャる 世界はそれほど優しくはニャい いろいろあったであろう 辛く泣きたい時もあったであろう それでも少女は、記憶の中にしかいニャい、いつも絵本を読んでくれていた両親に感謝し、生きていることを全力で楽しむことを止めようとはしニャい 少女はいつしか大人にニャり、幼き時に感じた、大好きだった絵本を読んでもらった時の喜びを、自分が書いた絵本で感じて欲しいと思うようにニャった 生きているからこそ 生まれてきたからこそ 自分にできる何かを探し 自分ができる何かを見つけ その命を使う その使い方は、自分のためであっても、他人のためであっても構わない それが人間である』 短い指で、器用に灰を落とす 『その友達のことが嫌いであるか?』 … 『ニャらば謝れば良い 謝って許してもらえば良い それができるのも、生きていればこそである 言ったであろう 天国の門も地獄の門も、ただ列に並ばされるだけであると アニメタルもスーザン・ボイルも、そこでしか聴けない物ではニャく、iTunesで配信済みの曲であるよ』 ニッと牙を見せ笑う 猫に説教されるとは思ってなかった 『安心するが良い小龍(しょうりゅう) 君の祖父は良いニャをつけた 世界中の誰に嫌われたとしても 世界中の猫が君のことを好きである』 え? 『中国では龍はロン 日本では古くは龍のことを“タツ”と言った 小さきタツ 誇るがいいである “コタツ!”』 途中から意味不明なことを言いながら、手摺の上に立つバニさんは、空を睨んでいた 『護衛の時間である』
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