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七階建ての出版社ビルの屋上
梅雨時期としては珍しく雲のない日
抜ける様なブルースカイ
太陽の中心部が確かに揺れた
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手摺の上に2本足で立ったバニさんは、タバコを投げ捨て
『コタツ、日常へ戻りたいのニャらば、願うだけでいい
現在の君の状態では少し影響があるかもしれんからニャ』
えっ? なに?
何か来るの?
あれ… なに?
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10メートル程離れた空間に突如として現れた黒い点は、一辺が5センチ程の正六角形に広がる
太陽光を遮り地上に黒い影を落とすが、正六角形自体は銀色の液体の様なものが渦を巻いて光っている
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『ニャに、吾輩は問題ニャいである
座標転移にこれだけの時間をかけるニャど、頭の悪い天使のやること
せいぜい役職ニャしの大天使(アークエンジェルズ)であろう』
いや、バニさんの問題聞いてない
僕に影響あるとか、その部分は…
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同じ大きさの六角形が、時計回りにパタパタと広がっていき、面積を拡大していく
やがて、蜂の巣の様な六角形の集合体になったそれは、逆スポットライトの様に太陽光を完全に遮り、銀色の渦が脈打ち始める
―――――
『あくびが出るである』
右手を引き、重心を下げ、鍵尻尾が揺れる
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渦の中から何者かが現れた
その者は、2枚の真白な翼を持ち、白い絹で織られた薄い衣を纏っていた
金色の髪は風に靡く程長く、双眸は青く、石膏で作られた彫刻の様に表情はなかった
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『ニャん』
一瞬で空中に浮かぶ天使に近づき…
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次の瞬間
恐らく、仏教徒であろうと、ヒンズー教徒であろうと、例え悪魔信仰の者であろうとも、その姿を見れば“天使”と呼んでしまうであろう存在が欠き消えた
一発の猫パンチで
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えっ?
天使倒したの?
一発で?
何で?
敵なの?
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