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叔父(優樹)side
「兄貴、電気消すよ」
「ん」
怖かった。
あんなに会うことが怖かったのに。
普通に話すことができた。
さらに、、き、き、すまで、もらえた。
あり得ない。ほんとうに。
「…………ありがとな、今日」
「ん。俺、なんもしてない気がするけど」
「いや、お前がきっかけでここに来れたし」
「………母さんに言われて行ったんだけどな」
「くく、照れんなよ」
「照れてねーし」
「うん、…ありがと」
「……それさ、母さんや父さんにも言ってやってよ。きっと喜ぶ」
「うん、……」
「そんで、これからもさ、こうやって泊まりに来てよ」
「うん、……」
「母さんも父さんも小雪も、俺も、兄貴のこと好きだから」
「うん、……」
なにも怖いことなんてなかった。
確かに、死ぬほど悩んだ。
死ぬほど後悔した。
けど、嫉妬なんてなかった。
憎悪なんてなかった。
だって、大好きな姉だ。
だって、大好きな彼だ。
妬み憎むことはできない。
今だってつらい。
今だっていたい。
なのに、なにも怖くない。
他でもない、
この、家族だから。
こんなに、あたたかい、家族だから。
「ありがと」
第1話 家族:END
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