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「ああ、悪い」
少し掠れた低い声。
「寝てて気づかなかった」
ちいさな赤い跡が残る背中。
「今から行く」
目を閉じて、
耳を塞いだ。
「×××××」
―――――――――――――――――――――――
リビングのソファーの上で膝をかかえる。
アイツを取られた気持ちになる。
いや、取られたとか取られるとかその前にアイツは物じゃないだろ。
あ、でも
あの可愛い彼女の『もの』ではあるのだろうか。
背の高い彼に似合う綺麗な彼『女』。
間違えたのだろう。きっとすべてを。
ぎくしゃくしている彼女との関係を心配するフリをして。
面倒になってきた、と何十回も聞いたセリフに。
優しい親友の皮を被って。
『男』の俺が、男のお前を、
好きになって。
ああ、駄目だ。
なんかこれ以上は駄目だ。
目の前が暗くなっていく。
頭に響く警告に従い思考を遮断する。
眠ろう。
うん、それがいい。
少しだけ眠って、
そうすれば
玄関のチャイムが、俺、に、、、しあわ、せを、、
すぅすぅ
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