第1話:家族

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甥side 「……優樹(ユウキ)くん?」 「…………………」 俺は2週間後自宅に帰り、その数日後に兄貴が家を訪ねてきた。 来たのだが。 扉を開けた人物によほど驚いたのか数ミリも動かない兄貴に、困惑する父さん。 うわーすごい。 面白い。 写メ撮ろうかな。 あ、携帯、部屋だ。 「? 優樹くん?」 「兄貴」 流石に父さんも兄貴もかわいそうだと思い、ちょっと大きい声で呼ぶと、 「…え、あ、……すみません。お邪魔します。あ、あの、仕事のほうは」 「ああ、粗方片付いてね、昨日帰ってきたんだ。 ほら、あがって」 「…あ、すみません」 「伽弥(カヤ)が待ってるよ」 「はい」 視線をそらした兄貴と目があう。 にこっと笑い、久し振り、と声をかけると、睨まれた。 ああ、ほんと面白い。 ガチャ 「ゆうちゃん!!」 「わあぁ!!」 「おっ、と」 ガタン えーと、何が起こったのかというと。 リビングのドアが開くと同時に母さんが飛び出してきた。 母「ゆうちゃん!!」 兄貴に抱きつく 優「わあぁ!!」 2人一緒に後ろに倒れる 兄貴の後ろにいた父さんが 父「おっ、と」 2人を支えて壁に手をつく こんな感じです。 大の大人3人が(兄貴だけ背が低いけど)ぎゅうっと、まとまってる。 写メ撮りたい。 あ、携帯、部屋だ。 ん? なに、母さん。 こっち来いって意味? 母さんに手招きされるまま、かたまりに近づく。 ぎゅうっと。巻き込まれた。 うわ、あったか。 湯たんぽだ。 壁の内側でむぐむぐ動いている兄貴が、あつい、と呟く。 母さんが、ふふ、あったかいでしょう、と笑う。 父さんもクスクス笑う。 あったかい。 「あ、兄貴」 「なに」 「おかえり」 顔を俯けて耳を赤くさせ 小さく 「ただいま」 呟いた。
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