第1話:家族

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義兄(和之)side 小雪とお風呂で遊んでいると、遅れて優樹くんが入ってきた。 「ん、じゃあ、私が先に洗わせてもらうよ。優樹くんは小雪と一緒に温まっててね」 「あ、っ……はい、すいません」 「ゆぅにいちゃ! あそぼあそぼー」 「…………」 「……優樹くん?」 「は、はい!?」 「入らないの? 寒いでしょう」 「…はい」 どうしたのだろう。顔が赤いから、少し熱気に当てられてしまったのだろうか。 「はい! ゆぅにいちゃはひよこさんね。そしたら、ゆきはかいじゅうさん!」 「あ、ありがとう」 「ゆぅにいちゃはひよこさんだから、かいぞくってゆーわるいやつにさらわれるの」 「え」 「ゆぅにいちゃはかわいいから、さらわれちゃうの。はい、きゃーっていって」 「…きゃー」 「そしたら、かっこいいゆきがゆぅにいちゃをたすけるの! とあー!!」 ばしゃーん 「わっ」 「ゆぅにいちゃ、たすかったね!」 小雪がお風呂の中で立ち上がり、優樹くんのおでこにキスをした。 あ、優樹くん固まっちゃった。 「ゆぅにいちゃもおれいのきす、ゆきにして?」 「っ、」 まっかっかの優樹くんが小雪のおでこにキスを返した。 なんて、微笑ましい。 「っ! ちょ、和之さん笑わないで!」 「ふふ」 「へへー、ゆき、ゆぅにいちゃにきすもらったよ」 「うん、良かったね。ずるいなあ」 「へぁ!?」 「ゆぅにいちゃはゆきのにいちゃだけど、しょーがないからおとうさんもいいよ!」 「ぅえ!?」 「え、いいの?小雪、ありがとうね。じゃあ、」 「え、え、ちょ、ちょっと、待っ」 慌てる優樹くんがとても可愛らしい。 逃げられてしまうので、顔の側の壁に手を置いた。 「っ!……」 目をぎゅうっと瞑るその上のおでこに、ちゅ、とキスをした。 「…………」 「……………優樹くん?」 「………………」 「ゆぅにいちゃ?」 小雪が優樹くんの肩をちょん、とつつく。 ぐらっ ばしゃーん 「わああああああ!! 優樹くん!?」 「ゆぅにいちゃすごい!! かおだいぶー!」 義兄side:end
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