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我が身はユグドラシルに抱かれる矮小な身なれば、オーディンに勝てるはずもなく。
それよりも。
ユグドラシルの滅びを加速させるものを、私は封じるべく、この愛しい地から離れることとした。
ユグドラシルの命を喰らうもの。
それは。
根が浸る三つの泉の一つ、氷の国ニブルヘイムにあるフヴュルゲルミルにて、その根をかじる黒き竜。
名をニーズヘッグ。
悪しきもの。
生命の源たるユグドラシルは、そのようなものまで許し身の内に抱くが、私はそれを許してはおけぬ。
私は、かの竜を封じる力を手に入れるため、翼を広げた。
旅立つ先は、ミズガルズ。
今や爆発的に増えた、愚鈍なるも生命力に満ちあふれた生き物、人間どもの世界に。
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