役目

3/4
前へ
/18ページ
次へ
我が身はユグドラシルに抱かれる矮小な身なれば、オーディンに勝てるはずもなく。 それよりも。 ユグドラシルの滅びを加速させるものを、私は封じるべく、この愛しい地から離れることとした。 ユグドラシルの命を喰らうもの。 それは。 根が浸る三つの泉の一つ、氷の国ニブルヘイムにあるフヴュルゲルミルにて、その根をかじる黒き竜。 名をニーズヘッグ。 悪しきもの。 生命の源たるユグドラシルは、そのようなものまで許し身の内に抱くが、私はそれを許してはおけぬ。 私は、かの竜を封じる力を手に入れるため、翼を広げた。 旅立つ先は、ミズガルズ。 今や爆発的に増えた、愚鈍なるも生命力に満ちあふれた生き物、人間どもの世界に。
/18ページ

最初のコメントを投稿しよう!

393人が本棚に入れています
本棚に追加