第1章

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そして、31日。 おせち料理を盛りつけて、最後のゴミ出しも終わり、のんびり。 そうだ、早めにまりちゃんを呼んでこよう。 俺は、店に行って声をかけた。 「まりちゃん。掃除終わってるから、うちにおいで。一緒に年越ししよう。おせち料理もあるよ。」 すると、小上がりからすうっとまりちゃんが姿を現した。 「いずみのおうち!お料理!ごちそう?ねえねえ、ごちそう?おむすび?」 まりちゃんのごちそうは、塩むすび。 その昔、生まれながらにして間引きされ殺された赤ちゃんが座敷わらしになったという。 そのせいか、まりちゃんは最初にこの店に来たとき、塩むすびを頬張って美味しいと言ってくれた。 それ以来、俺はまりちゃんに時々塩むすびを作ってあげるようにしている。
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