第1章:初恋は苦いモノ

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全てが終わった後… お互いの微かな吐息のみが聞こえ、俺の隣で悠里先輩が力尽きたように寝そべっていた。 どちらからも言葉は発せられない。 そして、あんなに熱を帯びていた筈の身体は嘘みたいに冷えていった。 …俺、ここから出てった方がいい? もともと元カノとも寝た後、ベタベタするのはあまり好きじゃなかった。 …元カノはやたらと俺に触れたがってたし、ある程度は嫌な素振りも見せず、付き合っていたけど。 先輩はどうなんだろうか… ベタベタするって…有り得ないか 予期せぬ情事の後、そもそも何故こんなことに頭を悩ませなければならないのか。 けれども、ここは俺ん家で先輩が自由になるスペースはこのリビングしかない。 …やっぱり俺が出てくべきか。 もう一度シャワーでも浴びて、今度こそ本当に寝室に戻ろうかとゆっくりと立ち上がれば、全身が痛くて、思わず顔をしかめる。 …悠里先輩、まじ容赦なさすぎ。 痛みに耐え、そっと自分の服をかき集め、黙って風呂場へ移動する。
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