322人が本棚に入れています
本棚に追加
/345ページ
「…先、輩、何して」
悠里先輩が待ち構えていたことにも驚いたが、更に先輩が正座でいることに驚く。
慌てて悠里先輩に視線を合わせるように、しゃがみこめば、
先輩は勢い良く土下座した。
「すまない!!」
「…え。ちょ、先輩!?」
突然の土下座にびっくりするが、先輩はそのまま顔を上げることなく続ける。
「…先輩なんて呼ばれる資格なんて。俺はお前になんてことを」
「…………」
「謝って許してもらえるなんて虫のいいことは思ってない!
取り返しのつかないことをした…。
恵っ!気が済むまで俺を殴れ…!!」
そう一気にまくし立てた先輩に、呆気に取られてしまって…すぐに言葉が出なかった。
たけど、俺が黙ったままなのを先輩は勘違いしたみたいで、
「そうだよな…。もう口も聞きたくないよな…。本当に悪かった。…今日は帰るわ」
頼もしい筈の悠里先輩の姿が小さく見えて、もう泣いてないのに…
でも、彼をこのまま帰したら一生後悔する気がした。
「待って下さい」
最初のコメントを投稿しよう!