第1章:初恋は苦いモノ

14/14
318人が本棚に入れています
本棚に追加
/345ページ
まだ自分の気持ちだって整理ついてないのに… さっきまで悠里先輩とどんな顔して会えば、って悩んでいた筈なのに… 「先輩、もういいですよ」  気付けば、そんなセリフを口にしていた。 「え…」 俺に許されるとは思ってなかったのか、驚いた表情で先輩が顔を上げる。 「だから、もういいですって」 「でも…」 「もうそんな心配しないで下さいよ。処女じゃあるまいし、…そりゃちょっとは驚きましたけど、俺平気ですよ?」  まさか男同士でセックスすることになるとは思いもしなかったが、手を差し伸べた時点で、俺も同罪。 悠里先輩ばかりを責める気なんて、これっぽっちも思わない。 「それに帰るって…もう電車もタクシーも動いてませんよ?」  「でも…」 「もういいですから。いつも俺の悩み聞いてもらってるのに、俺は先輩の悩み一個も知らない。俺だってたまには先輩の役に立ちたい」 …頼りにならないかもだけど、と苦笑して付け加えば、 突然悠里先輩が俺を抱き締める。 「…そんなこと言ったら、俺まじで恵に甘えるよ?いいの?」 「…いいですよ」 ---悠里先輩と俺との関係が 先輩後輩以外に、 セフレという繋がりが増えた日---
/345ページ

最初のコメントを投稿しよう!