第3章:嫌いになれない

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浦間さんの真意はなんだ? 男が好きな俺が珍しいのか? それとも本当に性格がいい人ってだけで、俺に気を遣ってくれている…? ……… ………… って、考えても分かる訳ねぇか。 まぁあの合コンにいたってことは田中の知り合いだろうし、そこまで変な奴ってこともないか… それに優しく気に掛けてくれてるのは事実だし… そう思ったから、  「あ、じゃあ…また機会があれば…」 とりあえず社交辞令を交わしておく。 それなのに、浦間さんはやたらと嬉しそうで… 「わかった!!ほんなら、また店探しとくから、空いてる日連絡するわ!」 「え…!?あ、はぃ?」 「ホンマ引き止めて悪かったな!もう真っ直ぐ家帰るんやでー?またなー!!」 え?あの、浦間さん!? 社交辞令って知ってます!? そうツッコミたかったけど、最後に自己完結した台詞を残し、彼は颯爽と来た道を引き返して行った…。 「嘘だろ…?」 変わるきっかけ欲しさに行った合コン。 それなのに……… 男が好きだと思わぬ場所で、思わぬ人に初めてカミングアウトし… 幸か不幸かそれをあっさりと受け入れられてしまったこの日… 俺は明る過ぎる友達を手に入れた。
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