第4章:交差する想い

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*** 週末明けの月曜日… 会社に入ると、目の前でとぼとぼ歩く男を発見。 「田中?」 後ろから声を掛ければ、げっそりとした同期が振り向く。 「あ…牧野」 「どうしたの?お前…顔死んでる…」 いつも元気な同期の余りにも疲れ果てた姿を見て、心配すれば、 「…まきのぉー。聞いてくれよぉー」 「な、なに…?」 田中が突然抱き付こうとしてきたので、思わず両手で阻止する。 「聞いてくれぇ~。この前の合コンに来てた奈々実ちゃん分かる!?」 「奈々実…?」 奈々実…って…… 「…あぁ。確か百貨店の受付嬢?」 「そう!!その奈々実ちゃん!」 「その子が何?」 「お前あの後帰ったじゃん!?」 悲壮な顔して迫られ、たじろぐ。 「う、うん…」 「なんで帰ったんだよぉぉ」 「…は?いや、帰るって言ったし、…ってか、こっちも色々あったんだよ」 そうだよ。こっちも色々あったんだよ… 男好きなのバレたり、泣いたり… それなのに、ポカポカとグーで胸元を叩かれ、少しイラっとする。 「…で、なんなの?言うなら早く言って」
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