第4章:交差する想い

3/13
前へ
/345ページ
次へ
「ううっ…、あの後カラオケ行って、そろそろ解散しようかってなったんだ。そしたら、帰り際に奈々実ちゃんが「帰るの?」って俺の腕を引っ張って…」 「え?まじで?やったじゃん」 「やっぱりそう思うよな!?そんなん言われたら、お持ち帰りOKって思うよな!?」 「…え?違うの?」 「違ったんだよぉ!OKかと思って、ホテル行こうとしたら、…ホテルまでもう少しってとこで、彼女に電話が掛かってきて…」 「う、うん」 正直面倒くさかったが、ここまで聞いた手前仕方なく最後まで聞くことにする。 「電話出た後、彼女が突然帰るって言い出して…」 「はぁ?なんで??」 「そうだろ!?はぁってなるだろ!?で、理由を訊いたら、本当は彼氏がいるらしく、その彼氏が浮気して腹が立って合コン来たけど、今ごめんねメール来たから帰るって…んだよ!!彼氏持ちが合コンなんか来てんじゃねぇよ!!」 そう言って、近くの壁をバンと叩く田中。 「そ、それはないな。まぁ…次があるだろ?気を落とすなよ」 「くそー…まじなんなの」 怒りの矛先を向ける相手のいない田中はまだ悔しそうだが、そろそろ始業時間になる。 田中を励ましながら、エレベーターの方へ向かうと、 そこに今一番会いたくない人がいた。
/345ページ

最初のコメントを投稿しよう!

324人が本棚に入れています
本棚に追加