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「ううっ…、あの後カラオケ行って、そろそろ解散しようかってなったんだ。そしたら、帰り際に奈々実ちゃんが「帰るの?」って俺の腕を引っ張って…」
「え?まじで?やったじゃん」
「やっぱりそう思うよな!?そんなん言われたら、お持ち帰りOKって思うよな!?」
「…え?違うの?」
「違ったんだよぉ!OKかと思って、ホテル行こうとしたら、…ホテルまでもう少しってとこで、彼女に電話が掛かってきて…」
「う、うん」
正直面倒くさかったが、ここまで聞いた手前仕方なく最後まで聞くことにする。
「電話出た後、彼女が突然帰るって言い出して…」
「はぁ?なんで??」
「そうだろ!?はぁってなるだろ!?で、理由を訊いたら、本当は彼氏がいるらしく、その彼氏が浮気して腹が立って合コン来たけど、今ごめんねメール来たから帰るって…んだよ!!彼氏持ちが合コンなんか来てんじゃねぇよ!!」
そう言って、近くの壁をバンと叩く田中。
「そ、それはないな。まぁ…次があるだろ?気を落とすなよ」
「くそー…まじなんなの」
怒りの矛先を向ける相手のいない田中はまだ悔しそうだが、そろそろ始業時間になる。
田中を励ましながら、エレベーターの方へ向かうと、
そこに今一番会いたくない人がいた。
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