322人が本棚に入れています
本棚に追加
「あ!御門さんじゃん。そういや御門さんって牧野んとこの先輩だっけ?」
「そう…」
「へぇー。やっぱ女子が騒ぐだけあって格好いいな…ってか、その御門さんと喋ってんの…葵ちゃん!?」
「…え?誰それ?」
悠里と喋っている女子社員を凝視する田中にそう訊けば、田中は次に俺を凝視する。
「牧野…お前、まじで男か…?」
「はぁ??」
「いやいや。我が社一番人気の高野葵(コウノアオイ)ちゃんを知らないなんて男とは言わねぇ!!」
「なに基準、それ…」
びしっと断言する同期に冷たい視線を送るが、ことごとくそれを無視して、何故か目を輝かせて力説される。
「葵ちゃんはなぁ…顔はもちろん可愛いんだけど、誰にも優しいし、着痩せするタイプだから胸でけぇらしいし、何よりあの口元のホクロ!まじエロくねぇ!?」
「へぇー…」
田中の話は正直どうでもいいが、確かにその葵ちゃんとやらは可愛いらしかった。
イケメンの悠里と並んだら、まるでそこだけ会社内じゃないように華やか…
そんな二人を遠巻きに見ているのは俺らだけじゃなく、他の社員達もどこか羨ましそうに二人を見ていて…
「お似合いだな…」
気が付けば、そう呟いていた。
最初のコメントを投稿しよう!