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「え?なんで!?この土日にどんな心境の変化が!?」
「田中、うるさいよ」
急に騒ぎ出した田中を小声でたしなめる。
バカ!騒いだら気付かれ…
「…朝から元気だな」
後ろから甘い匂いと共に声がかかる。
「っ!?」
「…あ、御門さん!おはようございます!!」
「おはよう。えっと…君は…?」
「田中良樹(ヨシキ)です。営業部のエース候補です!!」
田中…そんなの初めて聞いたぞ?
てか、エース候補って何?すごいの??
嬉々として自己(過大)アピールを繰り広げる田中に、悠里もやや苦笑気味。
だけど、律儀に田中の話に付き合ってくれて…
「…へぇ。すごいね。葵もすごいと思うよね?」
後ろに佇んでいた葵ちゃんに話を振る。
「うん。エース候補とかすごいですね!早く真のエースなれるよう頑張って下さいね♪」
そう言ってにっこり微笑んだ葵ちゃんに、
「はぃ…!!」
田中は顔を真っ赤にして、声まで裏返して返事をする。
「じゃ、俺ら先に行くね。行こう?葵」
「またね♪」
俺らに手を振る葵ちゃんの肩にそっと手を置き、エレベーターの中へと促す悠里。
そして、エレベーターの扉が閉まり、俺らの視界から完全に二人が消え去る。
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