第4章:交差する想い

7/13

322人が本棚に入れています
本棚に追加
/345ページ
悠里…、一回も俺を見なかった。 しかも、葵って呼び捨て… 「なぁ!?聞いた!?葵ちゃんが俺に頑張ってって…!!」 「…アホらし」 「え!?何!?牧野お前妬いてんの!?」 勝手に勘違いしている田中を置いて、歩き出す。 「アホか。…てか、遅刻すんぞ」 「げっ!!朝礼始まる…!!」 焦ってエレベーターのボタンを連打する田中を横目に、人知れず溜め息を吐く。 …アホなのは俺か。 あの日悠里と距離を置いたのは自分自身。 そのせいで悠里が俺を無視しても仕方ないじゃないか…… だけど、そんな悠里と今まで通り仕事出来る気しないし、ましてや悠里が他の女と付き合っているのを笑える程、俺は出来た人間じゃない。 浦間さん… あんたが言うように俺らしくいるのってそんな簡単なことじゃないよ? むしろ悠里が他の女といるのを見かけただけなのに 前よりももっと心が苦しいよ…? 身体目当てなのに… 平然とそう言ってのけるような最低な奴なのに… 男同士なのに… 今まで以上に悠里を求めてしまうんだ……
/345ページ

最初のコメントを投稿しよう!

322人が本棚に入れています
本棚に追加