第4章:交差する想い

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階段を使って一つ下の階の資料室へと行き、社員カードを認証させる。 ここも年末に大掃除するべきだよな… たまにしか足を踏み入れないとはいえ、開発部の過去の膨大な資料が所狭しと置かれていて、…はっきり言って汚い。 「こん中から部長の言ってた資料見付んの?」 …道理で誰も立候補しなかった訳だと今更ながら気付くが、もう遅い。 自分から引き受けたことだけど、 「…ついてねぇ」 ついつい愚痴ってしまう。 それならせめて早く見つけて済ませてしまおうと心に決め、近くの棚から目録を確認する。 二つ目の棚を確認し終えた頃、ピッ、カシャ…と入口で社員カードが認証され、鍵が開く音がした。 「…久田?」 もしかして手伝いに来てくれた?と微かな希望を胸に入口の方を覗いて、 …そこに立っていた人物に息が止まるかと思った。 「…ゆう、り」
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