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向かう…向かうが、
「あの、そこどいてくれませんか…?」
悠里がドアにもたれかかったままで、出て行くことが叶わない。
「なんで?」
「は?」
…なんでって、あんたにそこに居られちゃあ俺が出てけないんでしょ!?
そんな当然なことを訊かれ、悠里らしくないと思っていると
バンっ
突然右手と左肩を掴まれ、そのまま横の壁に背中を打ち付けられた。
「痛っ…!何して…んっ…」
抗議の言葉を口にしようとしたが、目の前の悠里から攻め立てるような激しい口付けによって、言葉は最後まで言えず…。
衝撃を受け、じんじんと痛む背中。
けど、そんな痛みなんか忘れてしまうくらい、久しぶりの悠里の甘い匂いと温かい口付けが執拗なくらい俺を求めてきて…
ヤバい。おかしくなる…っ!!
「なんで?なんでなの?」
口付けの合間に、悠里がそう訊いてくる。
は?なんで?って何が?
…というか、俺の方が訊きたいよ。
なんでなの?
なんでまだこんなことすんの?
「…あっ…ふっ」
訊きたいことは思い浮かぶのに、絶え絶えの息の中、それらを言葉にすることは出来なくて…
キスだけじゃ物足らなかったのか、ゆっくりと全身に触れられ…
ただただ悠里にされるがままだった。
「お前も…俺を見捨てるのか?」
「や、やめっ……あっ、んっ…!!」
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