第4章:交差する想い

12/13
323人が本棚に入れています
本棚に追加
/345ページ
「許さない」 また…その目…。 「俺から離れるなんて…許さない…」 「んんっ…」 逃がさないとばかりに激しく口付けられる。 …ねぇ。悠里は俺に誰を重ねてる…? 見つめ合ってる筈なのに、 俺達はこんなにお互いを求め合っている筈なのに… 悠里…。 あんたは俺を見ていない… 「ふっ…あ…っ!」 結局、あんたの心は俺のモノにはならないんだ……… どんどん欲張りになってしまう心に自分自身で呆れ返る。 だけど…それでも諦めきれない。 愛されることも、逃げることも許されないのに… もうどうすればいいのか分かんねぇよ……… 「…泣いてるのか?」 突然口付けの嵐が止んだと思ったら、そんな言葉が降ってきた。 「………」 …こっちだって泣きたくてないてんじゃないし。 でも、泣けてくるんだよ。 中途半端なあんたにも、 そんなあんたに振り回されっぱなしの自分にも、 腹が立つし、呆れるし…… 女みたいにぐしぐし泣く俺は、悠里の目にどう映っているのだろう。 …きっとアホだと思ってるんだろうな。
/345ページ

最初のコメントを投稿しよう!