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「ははは、泰王国の家族に直に会えなくとも、手紙があるでは御座いませぬか足軽頭様」
流石に苦笑しながら真之。
すると陸攻は、少しだけ眉をひそめ口を開いた。
「確かに普通の学校ならそれで十分だ。
でも、検閲があったらどうだい?」
「!」
流石に真之の表情が変わる。
留学生であろうとなかろうと、故郷の家族に向けた手紙に何を書くのも自由であろう。
だが、それに制限を加えられていると気付いた者が、伝えたい事をそのまま手紙に記すだろうか…
「軍の学校ならばともかく、娑婆の学校でもそうだとしたら…
ろくでもない学校もあるものです。
しかし、何故グラローク姫様は沖縄に?」
「これもまだ確証はないけど…
プラ アーティッ(ト)殿下が8月に沖縄に来ると知っていた奴が、その情報だけ姫様の耳に入るように仕向けたとしたら?
また、殿下と姫様が会う事で、得をする奴がいたとしたら?」
「…武士として、いや、人として捨て置く訳には参りませぬな」
唇を噛みしめ愛刀の柄に手をかけながら真之。
彼もまた陸攻と同様に、私利私欲の為ならば平気で人を苛める輩には我慢がならない漢なのだ。
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